高額なオンライン無形商材を提供する講師が、相場を大きく外れた値付けの根拠として引き合いに出す理屈に、「顧客満足度」や「買う側の勉強不足」という論点を盾にするものがあります。一見正当な理由に聞こえますが、実はこれらは問題点をすり替える典型的な免罪符です。本記事では、この手法の背景と問題点について掘り下げます。
『購入者が満足している=商材の質・値付けの妥当性』ではない!
高額な講座を販売する際、講師はしばしば「満足度が高い」という実績をその値付けの根拠として強調します。しかし、この「満足度」にはいくつかの落とし穴があります。
問題点:
感情を煽られ冷静さを失った状態の顧客による評価
初期の期待感や熱狂が満足度を押し上げることがありますが、冷静に効果を振り返ると評価が変わることが多いです。
満足度の評価基準・調査方法が不明瞭
「満足度90%!」といった数字も、アンケートの作り方でいくらでも操作できます。調査方法や質問内容が明かされていない場合、信憑性に欠けます。
満足度=適正価格ではない
高評価が得られたとしても、それが高額な値付けを正当化するわけではありません。特に、他の選択肢を知らない購入者が選ばされた結果である可能性が高いです。
「買う側の勉強不足」を理由にする問題
「勉強不足を他人のせいにしているだけだ」「粗悪なコンテンツを見抜けないのは買う側にも問題がある」と主張するケースも見られます。しかし、これは講師側(その業界の同業者も含む)の責任逃れにすぎません。
問題点:
情報の非対称性
講師は専門知識を多用したセールストークで購入者を魅了しますが、購入者がその話を十分に理解するのは難しいです。そもそも教わるための講座に興味を持った顧客が、コンテンツの質やレベルをまだ適切に検討できない場合があることを想定してセールスをしない(利益を得るための故意である場合も含め)時点で、公正ではないでしょう。専門家として職業倫理に反するとさえいえるかもしれません。
選択肢を提示しない・『今日だけ』『先着●名』などの煽りで購入を急かし、比較検討の隙を与えない
他の選択肢を提示せず、「これしかない」と思わせることで、購入者を高額商品に誘導しています。
結果が出ない場合、責任をすべて購入者に押し付ける。罪悪感を植え付ける
「マインドの問題」などにすり替え、買った後に「自分が悪い」と思わせることで、被害者が声を上げづらい状況を作り出します。
マーケティング技術やIT業界への過大評価を利用
マーケティングやITスキルは現代で重要とされますが、お金に直結する下流過程に位置することが多いためか、高く評価されています。それだけで結果を出しているように見えることもあり、時にマーケター自身さえも自分の能力を錯覚します。数字やメカに苦手意識を持つ人も多いため、過大評価されたこのイメージを利用し、高額な値付けやノウハウの価値を正当化する材料にする場合があります。
問題点:
一般人との知識格差
基本的な内容でも、「難しそう」と思わせることができる分野です。判断基準を持たない初心者を狙い、自身のスキルを大きく見せ、巧みな印象操作を行います。時に、高額な価格設定を正当化します。
トレンドへの便乗・先行者利益という業界独自の概念により、基礎スキルに対する高額な値付けを正当化する
『AI副業』『デジタルマーケティング』といった流行の言葉を使い、実際には基礎的な知識を特別なノウハウとして提供しています。
自己投資の神格化
「自己投資=成功」というイメージを押し付け、相場を超えた価格を正当化するのは不誠実です。
正しい判断をするために
高額オンライン講座の購入を検討する際には、以下の点に注意しましょう:
- 他の選択肢や価格相場を調べる
- 「最新技術」や「自己投資」という言葉に惑わされない
- 内容を冷静かつ客観的に評価する
また、提供者側も透明性を持ったビジネスを心がけるべきです。このような健全な取引環境を整えることが、講師と購入者の信頼関係を築き、自身の活躍するフィールドを健全化する第一歩です。