インスタにひそむキラキラ女性起業コンサルの罠
InstagramやFacebookなどのSNS広告でよく見かける「好きなことで自由に稼ぐ」「自分らしい働き方を実現」というキャッチコピー。特に女性向けの起業支援プログラムやコンサルティングサービスは、まるで夢を叶える魔法のように見えるかもしれません。
しかし、その中には、巧みに感情をあおるマーケティングで、女性の願望や焦りに付け込む詐欺まがいのビジネスが潜んでいることが実際に、残念ながらあります（もちろんすべてではありません）。
この記事では、キラキラ起業コンサルに騙されないために必要な自己判断のポイントと、具体的な行動指針を提案します。
なぜ女性はキラキラ起業コンサルに狙われやすい？心理的・社会的理由
怪しいキラキラ起業コンサルタントが女性をターゲットにする背景には、以下の要因があります。
1. 「自由に生きたい」「女性として輝きたい」心理的欲求を煽る
「好きなことで稼ぎたい」「自由なライフスタイルを送りたい」という願望は自然なものであり、多くの人に共通します。この心理に付け込み、「あなたも成功できる」という感情マーケティングで誘惑してきます。特にSNSで成功者を装い、きらきらとした装いや華やかな交友関係を次々とアピールする自称成功者の投稿は、視覚的にも強い影響を与えます。
2. ポジティブ思考・行動至上主義の押し付けで洗脳
「成功者は自己投資をしている」「ポジティブ思考が運命を変える」「インプットとアウトプットをとにかくする」といった流行りのメッセージは、希望や高揚をもたらす一方で、内省の時間を奪い判断を鈍らせます。こうしたフレーズが、「成功の近道」を信じ込ませるトリックとして使われます。
3. 女性のキャリア問題に便乗：切実な悩みに付け込み飛躍したロールモデルを提示する
現代の日本では、女性に対して「家庭も仕事も両立するキャリアウーマン」が評価されがちで、社会的役割としても求められることが少なくありません。実際にそのような女性は素晴らしく、経済的に余裕があれば選択肢は広がりますが、冷静に考えるとそういう女性だけが素晴らしいのではないはずです。例えば、専業主婦や育児・介護の役割を担っている女性は、仕事をしていない人々だと言えるのでしょうか。
しかし、主婦などの役割を担う女性が過小評価されがちなことや、キャリアが途切れるとお金を直接稼ぐ仕事において女性が不利になりがちなことは事実であり、これは社会の問題です。この問題は実際に、女性たちに切実な悩みとプレッシャーをもたらしています。確かに起業はひとつの手段かもしれませんが、「起業すれば理想を実現できる」わけではありません。まして、抽象的なマインド論で収入や生活について切実な悩みを持ち焦っている女性を無責任に誘惑し、経済的・心理的に搾取することは不誠実です。
怪しいキラキラ女性起業家を見分ける３つのチェックポイント
次のような兆候が見られたら注意が必要です。
１．自己啓発メッセージと視覚的インパクト：事業は二の次、人間の基本的欲求にばかり訴求する投稿
「成功できないのはあなたの努力が足りないから」といったメッセージでプレッシャーをかける手法も見受けられます。こうした手法は、冷静な判断を妨げる意図が隠されています。起業家であるのなら、彼女たちが実際に行っている事業の内容が本当は一番重要なはずです。
着飾ったキラキラ女性起業家たちの、ホテルの高級ディナーや出版記念パーティー、連日開かれるサロンのお茶会の投稿。分かりやすく華やかな世界に惹かれるのは当然です。しかし、その華やかな催しを支える肝心の事業について、SNSやランディングページからはっきりと読み取れない場合があると感じています。
２．具体性に欠ける成功事例・キャッチコピー
「月収100万円達成！」や「3ヶ月で自由なライフスタイルを実現！」などのキャッチコピーには、具体的なプロセスが説明されないことが多いです。具体性に欠ける成功事例は、信頼性を疑うべきポイントです。
３．高額な費用を「自己投資」で正当化、強引な勧誘
「成功するには自己投資が必要」と言われ、高額な講座やコンサル契約を迫られる場合は慎重になりましょう。信頼できるサービスであれば、無料体験や段階的な支払いオプションが用意されていることが一般的です。
４．追加料金がなくても注意：結局、感情マーケティングにさらされ続けるケース
入会金のみ・月額料金なしの買い切りとうたっていても、一概に安心できません。追加料金が本当になくて永年会員になれるようなサロンでも、感情マーケティングに常にさらされ続ける環境ならば、要注意です。例えば５万円で教材がたくさんあり、かつ定期的に開かれるセミナーや懇親会もずっと参加できるサロンがあります。
その無料の懇親会に参加するため、日程やズームURLなどの情報が共有されるメルマガ・チャットグループに参加していると、主要メンバーのイベント情報（コンサル・セミナー・サロン）が目に入り、常に感情マーケティングで心がいつも急かされるのです。
これは、サロン側の料金設定などに問題はないと思いますし、経済圏を作っているとも言えます。また、実際に仕事も創出しています。ただし、参加する側で特に受け身だったり初心者だとさらにいろんな講座に課金したくなってしまう環境で、お金がどんどんなくなっていきそうと正直感じます。
自分も何か企画・手伝う側として飛び込める方には良い選択肢になる場合があるとは思いますが、本当に初めての場合、いきなりネットビジネスのコミュニティには行かないことをお勧めしたいです。それは、ネットは消費者が簡単に買いたくなる感情マーケティングをしやすい世界だからです。
カモにされない！キラキラ女性起業家から自分を守る５つのチェックポイント
1. 謎の肩書きに注意：講師の素性、コンテンツについて必ずリサーチする
ランディングページやSNSのコミュニティからいったん離れ、その講師に全く関係がない場での口コミやGoogle検索などを参考に、利害関係のない人からの一歩引いた意見、商材そのものに対する純粋な評価も確認するべきです。
- 過去の顧客レビューがあるか？
- 運営会社の実態や資格が明確か？
- 提供されるコンテンツについて、具体的に知らされているか？
事前に検索さえしていれば、数十万単位の内容がないサロンに課金せずに済んだパターンも見たことがあります。また、情報商材だからということを理由に、数十万円単位の商材であるにもかかわらず、教材や受けられるサポートの内容を具体的に知らされない場合があります。これも、事前に質問しましょう。
2. 同等の知識・人脈が得られる選択肢：オフラインの既存サービスとも比較する
１つの講座だけに固執せず、類似のサービスを複数比較することも大事です。教材の具体的な内容は明示されているか、主催者の講義とサポートが直接受けられる頻度などの観点からも、費用が適正価格か検討しましょう。
その際、同等・同ジャンルの知識や人脈が得られるオフライン展開の無形サービスも、相場の参考として確認することをおすすめします。
3. 急かされるような気持ちになったら、一晩待つ
契約や支払いを急がされる場合は、一度冷静になりましょう。例えば、必ず一晩待ってから決めるといったような自分ルールを課すことも一つです。「今しかチャンスがない」という焦りは判断力を鈍らせます。
4. 『起業できない自分には価値がない』と洗脳されていないか
「起業しない自分には価値がない」と思い込まないことが大切です。現状の自分を肯定する視点を持つことで、安易な誘惑に流されにくくなります。SNSから外に目を向けると、SNSでキラキラした投稿ばかりしている『キラキラ女性起業家』を冷ややかに見ている人もたくさんいることに気づくはずです。そんな人をお手本にして、自分もそうなりたいでしょうか。
5.専門家に裏を取る、販売者とのやりとりを文章か録音で残しておく
契約内容について、入金前に専門家に意見を求めることも有効です。特に、返金特約やクーリングオフについて、きちんと読むべきです。自分に不利と感じたら契約前に講師に質問・交渉することは、してよいことです。
また、購入時のやり取りを記録に残しておくことで、仮に商材自体はクーリングオフが適用されないものであったとしても、売り方に問題があるという切り口で返金を迫れる場合があります。実際、景品表示法や特定商取引法の電話勧誘販売の枠組みにおけるルール違反が認められ、高額無形商材の返金に至った事例があるようです。
本当に信頼できる女性起業支援家を選ぶには？
信頼できる起業支援を見極めるには、以下の基準を参考にしてください。
- 透明性：プログラム内容や料金が明確であること。
- 実績：成功事例が具体的かつ多様であること。
- 継続的なサポート：一度きりのセミナーではなく、長期的なサポートがあること。
今は、地方自治体や商工会、地元のコワーキングスペースなどが、女性のキャリア支援、異業種交流会をしていることもよくあります。もちろん、オフラインなら必ず安全だとは言えませんが、オンラインよりはごまかしがききません。
やりたいことがある方や、自分で収入を得たい方で、女性の起業支援をうたうSNS広告にいつも心が惹かれてしまう方は、まず、そういったところに顔を出して、すでに起業している方やアドバイザー、起業に興味がある自分と同じような女性とかかわってみるのはいかがでしょうか。
まとめ：カモにさせない・夢に向けたリスクの低い選択を
キラキラ起業コンサルに騙されるリスクを減らすためには、自分の夢や願望に漬け込んだ売り方を相手がしていないか、冷静に見極める必要があります。経済的損失が少ないという意味でも、おかしな人脈に巻き込まれにくいという意味でもリスクが低い代わりの選択肢はあります。不誠実な女性起業サロンを避け、そういった選択肢も検討することで、真に自分らしいキャリアを実現する一歩を踏み出せるはずです。
情報収集と冷静な判断を忘れずに、確実なスタートを切りましょう！
